特集 NASH2018
8 .NASH と腸内細菌
谷合 麻紀子
1
,
橋本 悦子
1
1東京女子医科大学消化器内科
キーワード:
腸内細菌組成
,
腸管壁バリア機能
,
細菌由来成分
Keyword:
腸内細菌組成
,
腸管壁バリア機能
,
細菌由来成分
pp.61-65
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000200
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肥満の急増を受け,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は世界的に急増し,肝不全・肝細胞癌に進展しうる病態として疫学的に重要な問題である.NAFLD 症例では,腸内細菌組成が,一般人と質的および量的に異なることが知られている.さらに,NAFLD 症例では,腸管粘膜の透過性亢進と腸管由来細菌産生成分の血中濃度上昇がある.腸内細菌組成を健常な状態に保ち腸管粘膜のバリア機能を保持し,細菌由来成分と宿主細胞との反応を抑制することで,NAFLD 動物モデルでの肝病態進行抑止の報告がある.したがって,腸管内dysbiosis とbacterialtranslocation は,アルコール性肝障害におけるのと同様に,NAFLD/NASH においても病因の根幹を成すものと考えられ,それらをきたす機序に関しても徐々に明らかにされつつある.さらに,腸内細菌組成の管理は,現在もっとも期待されるNAFLD/NASH 治療オプションの一つである.
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