特集 長期透析の現況・課題と対策
5.長期透析患者の悪性腫瘍
大庭 康司郎
1
,
望月 保志
1
,
今村 亮一
1
1長崎大学病院泌尿器科・腎移植外科
キーワード:
透析
,
悪性腫瘍
,
標準化罹患比
,
腎癌
,
膀胱癌
Keyword:
透析
,
悪性腫瘍
,
標準化罹患比
,
腎癌
,
膀胱癌
pp.437-441
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003376
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透析患者では一般人口と比較して悪性腫瘍の発症が多いとされているが,その要因はいまだ解明されておらず,正確な発症頻度は不明である.腎不全や透析に起因すると考えられる悪性腫瘍のリスク因子は,腎泌尿器系では影響が大きいと考えられる.透析患者は腎臓が萎縮し,後天性の多囊胞化萎縮腎の合併頻度が高く,とくに10年以上の長期透析患者では後天性囊胞腎症随伴性腎細胞癌が増えることが知られている.一方で,膀胱癌の発症頻度は多様であり,長期透析患者においては,無尿となることで膀胱への尿中発癌性物質の曝露が減少し発症率は低下すると考えられているが,発症した場合の予後は不良であると報告されている.このように腎泌尿器系の悪性腫瘍は腎不全や透析に影響を受けるのが特徴である.

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