特集 透析患者の糖尿病治療
5.合併症の予防と治療(3)心血管合併症
藤﨑 毅一郎
1
,
中俣 悠亮
1
,
西田 明弘
1
,
沢田 雄一郎
1
,
岡村 のぞみ
1
,
下河 舞子
1
1飯塚病院腎臓内科
キーワード:
心血管合併症
,
糖尿病
,
透析患者
Keyword:
心血管合併症
,
糖尿病
,
透析患者
pp.70-75
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003282
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本稿では,糖尿病を有する透析患者における心血管合併症の予防と治療について概説した.日本透析医学会の統計により,現在の透析患者の主要死因は感染症と心不全であり,心血管疾患が引き続き高いリスク要因であることが示されている.糖尿病を有する透析患者は,とくに駆出率維持型心不全(HFpEF)や冠動脈石灰化,脳血管障害の発症リスクが非糖尿病合併透析患者に比べて高く,冠動脈病変も進行しやすい.心不全に対する治療では,透析患者へのエビデンスが限られるものの,β遮断薬などの使用が考慮されている.脳血管障害予防では,血圧や体液管理が重要であり,今後もより効果的な治療法が求められている.透析患者における合併症発症に留意するとともに,保存期腎不全期における糖尿病性腎症の進行抑制と心血管疾患管理が重要である.
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