特集 東日本大震災と透析医療
Ⅲ.東北大震災―被災地からの報告(2)被災地の中核施設として②東北大学病院
宮崎 真理子
1,2
,
村田 弥栄子
1
,
山本 多恵
1
,
大場 郁子
1,2
,
清元 秀泰
2
,
中道 崇
2
,
中山 恵輔
2
,
上野 誠司
3
,
伊藤 貞嘉
1,2
1東北大学病院血液浄化療法部
2東北大学大学院医学系研究科腎・高血圧・内分泌学分野
3気仙沼市立病院泌尿器科
キーワード:
災害拠点病院
,
地震
,
広域医療搬送
,
災害医療コーディネート
Keyword:
災害拠点病院
,
地震
,
広域医療搬送
,
災害医療コーディネート
pp.307-314
発行日 2012年3月10日
Published Date 2012/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002797
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宮城県では大地震と津波により,道路や施設,通信が被害を受け,電気,水道,ガスの供給停止,ガソリン入手困難など,震災直後には多くの透析施設で治療が不可能となった.都市部では災害医療拠点とは異なる大規模な透析施設に給水車などを投入して早期から透析を再開し,災害拠点病院の負荷は軽減された.迅速かつ安全な支援透析を受けるために,透析診療情報を携帯し,施設でまとまって行動することが望ましいが,それが不可能な施設も多かった.一方,津波被害の大きかった地域の災害拠点病院では,地震や津波による傷病者への対応が優先された.また,患者の職場や住宅の損壊,車の流失など,療養環境の復旧と透析医療機関の復旧とは等しくなく,広域医療搬送も実施した.これらの一連の対策には,一次や二次の医療圏ごと,さらに広域に収集した情報,多様な組織が得た情報を適切に管理し,しかもそれらの情報境界をできるだけ撤廃して共有することが重要であった.
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