特集 糖尿病透析患者の全身管理を極める―専門医との連携を目指して
[コラム]膵臓移植の適応条件
伊藤 泰平
1
,
剣持 敬
1
,
栗原 啓
1
,
會田 直弘
1
1藤田医科大学医学部移植・再生医学
キーワード:
膵臓移植
,
膵腎同時移植
,
1型糖尿病
,
腎不全
Keyword:
膵臓移植
,
膵腎同時移植
,
1型糖尿病
,
腎不全
pp.91-92
発行日 2023年1月10日
Published Date 2023/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002436
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インスリン分泌が枯渇した糖尿病患者では,インスリンポンプなどの厳密な血糖管理を行っても血糖変動が激しく,QOLが著しく低下する.さらに,糖尿病性腎症から慢性腎不全に陥ると生命予後が著しく悪化するが,膵腎同時移植(simultaneous pancreas and kidney transplantation;SPK)を受けることにより生命予後は改善する.膵臓移植を受けた患者の95%以上が1型糖尿病に慢性腎不全を合併しており,術式の内訳は,SPKが84%,腎移植後膵移植(pancreas transplantation after kidney transplantation;PAK)が12%であり,膵単独移植(pancreas transplantation alone;PTA)は4%にすぎない.したがって,膵臓移植の多くは1型糖尿病かつ慢性腎不全患者に対する移植医療であり,腎移植も行うことにより,QOLのみならず生命予後の改善が期待できる.
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