自然災害時における重症心身障害児の心身の反応に関する国内文献レビュー

Literature review of the Japanese literature on mental and physical reactions of severely disabled children during natural disasters

要約

目的：自然災害時の重症心身障害児（以下、重症児）に関する研究がなされている範囲や、明らかになっている事項を要約し、自然災害時の「重症児の心のケア」を検討する基礎資料を得る。

方法：自然災害時の重症児に関する国内の文献をJoan Bridge Instituteのガイドラインを参考に、文献検討を実施した。

結果：重症児の自然災害に関する45文献を分析した。研究対象は、養育者やケア提供者であり、避難行動や電源確保等の備え、地域とのつながりの強化といった内容であった。自然災害時の重症児の心身の反応を探求した研究は見当たらず、睡眠の変化や便秘等が事例として記述されていた。

結論：自然災害時の重症児に関する研究は、家族やケア提供者が研究対象とされ、防災訓練や減災に向けた備えなどの実態調査や報告、防災意識に関する研究が殆どであった。そのため自然災害時の重症児の心身の反応は、睡眠の変化や自傷行為等のケアする側の困り事であった。今後、自然災害時における重症児の「心のケア」を見出すには、自然災害を経験した重症児の家族やケア提供者を対象に、重症児の心身の反応との関連要因も含めて探索する研究の蓄積が必要である。