特集 CKD診療におけるビタミンと微量元素
1.CKD診療におけるビタミン・微量元素の現況
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
水溶性ビタミン
,
脂溶性ビタミン
,
微量元素
,
欠乏症
,
経口摂取不足
Keyword:
水溶性ビタミン
,
脂溶性ビタミン
,
微量元素
,
欠乏症
,
経口摂取不足
pp.623-631
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001763
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ビタミンおよび微量元素の摂取量は食事量と比例するため,食事摂取量が不足した透析患者では欠乏症を合併する.とくに水溶性ビタミンは透析や濾過によって容易に除去されるため,ビタミンB1欠乏症を中心に高頻度に存在する.また,脂溶性ビタミンではビタミンDとK,微量元素では亜鉛の欠乏症が多い.現時点で,透析患者に対するビタミンおよび微量元素の目標摂取量は,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考とする.ビタミンや微量元素の欠乏は,透析患者の非特異的なさまざまな症状と関連する可能性があるため,原因として欠乏症が疑われる場合は血中濃度を測定する.ビタミンおよび鉄,亜鉛,セレンなどの微量元素には保険適応の薬があるため,欠乏症の診断がつけば治療は可能である.しかし,透析患者にビタミンおよび微量元素を補充することで,長期的な予後が改善するというエビデンスはないため,漫然とした長期投与は避けるべきである.
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