今月の主題 生体内微量元素
話題
微量元素と免疫機能
荒川 泰昭
1
,
小川 康恭
1
,
荒記 俊一
1
Yasuaki ARAKAWA
1
,
Yasutaka OGAWA
1
,
Syun-ichi ARAKI
1
1独立行政法人労働安全衛生総合研究所
キーワード:
微量元素
,
免疫機能
,
免疫修飾
,
細胞性免疫の不全
,
欠乏と過剰
Keyword:
微量元素
,
免疫機能
,
免疫修飾
,
細胞性免疫の不全
,
欠乏と過剰
pp.191-196
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101890
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1.はじめに
微量元素は直接的に,あるいは栄養障害,ホルモンバランスの撹乱,器官の組織傷害,機能障害などを介して間接的に免疫応答を修飾する.すなわち,微量元素はそれぞれが持つ生理活性に依存して直接に,あるいは細胞内代謝(ホメオスタシスの維持)や細胞応答関与の酵素,サイトカイン,ホルモンなどの活性化機構やシグナル伝達機構への影響を介して,免疫応答を本質的に担っているリンパ球の増殖・分化・細胞死を修飾する1~6).そして,その修飾には,欠乏あるいは過剰による各微量元素固有の生理的最適濃度範囲からの逸脱に起因した障害が含まれる.しかも,この微量元素の免疫系への有害影響には免疫反応を亢進する場合と抑制する場合とがあり,前者は自己免疫疾患やアレルギー疾患7)の原因となり,後者は感染症や発癌・癌進展8)などの原因となることが考えられる.
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