特集 腎性貧血治療のこれまでと,その新しい展開
4.これまでの腎性貧血治療(5)栄養障害から見たCKD患者の貧血
小船 雅義
1
,
堀口 拓人
1
,
井山 諭
1
1札幌医科大学血液内科学
キーワード:
鉄欠乏
,
葉酸欠乏
,
亜鉛欠乏
,
ホモシステイン血症
Keyword:
鉄欠乏
,
葉酸欠乏
,
亜鉛欠乏
,
ホモシステイン血症
pp.60-64
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001591
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腎障害ではエリスロポエチン(EPO)産生の低下を介した骨髄関連の異常が発症する.具体的には,EPOレセプターを発現する赤芽球におけるエリスロフェロン産生が低下し,肝実質細胞におけるヘプシジン産生が増加する.その結果,消化管粘膜血管側におけるフェロポーチン―1の発現が低下し,消化管における鉄吸収が低下する.このほか,腎障害により直接的に高ホモシステイン血症,葉酸欠乏および亜鉛欠乏が発症する.ホモシステインの代謝には葉酸およびビタミンB12が関わる.これらの栄養素の相対的低下は貧血や腎障害を増悪させるのみならず,皮膚,粘膜,神経系および貧血を惹起するため,適切に補充療法を行うことが必要である.
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