経口薬による低血糖への指導と対応―安全に経口薬を処方するためのファーストステップ

Management of hypoglycemia induced by oral hypoglycemic agent

Case　シックデイ時に低血糖発作で救急搬送された女性

　患者：63歳，女性．

　家族歴：父方のいとこが糖尿病．

　現病歴：1年前，眼科受診時に血糖コントロール不良を指摘され，紹介にて内科受診しスルホニル尿素薬（SU薬）［オイグルコン^(R)（2.5mg）4錠　分2朝夕食前］，インスリン抵抗性改善薬［アクトス^(R)（15mg）1錠　分1朝食前］の内服処方にて経過観察中であった．数週前より胃不快感を認め，数日前より嘔吐，下痢，食事摂取不良となり，他院を受診し点滴治療などを受ける．食事摂取不良が続くにもかかわらず，経口薬は通常通り継続し，昨日より全身倦怠感を認め，今朝になり家人が患者の意識レベルが低下しているのに気付き，救急車で搬送された．

　身体所見：身長148.0cm，体重56.0kg（BMI25.6）．血圧140/80mmHg．貧血，黄疸なし．瞳孔縮小．意識レベルJCS2．胸部異常なし．腹部，心窩部に圧痛あり．筋性防御なし．浮腫なし．膝蓋腱反射減弱，アキレス腱反射消失．病的反射なし．

　初診時検査所見：血清生化学；来院時血糖32mg/dL，総蛋白7.4g/dL，AST23IU/L，ALT14IU/L，BUN21mg/dL，Crnn0.58mg/dL，Na146mmol/L，K3.8mmol/L，Cl111mmol/L，HbA_1C7.1％，CRP0.3mg/dL. 　末梢血；赤血球数360万/μL，Hb10.9g/dL，Ht33.4％，白血球数4,300/μL，血小板数25.1万/μL. 　尿所見；糖（－），蛋白（2＋），ケトン（－），Alb415.7mg/day．頭部CT；特に異常なし．眼底検査；増殖網膜症．