特集 透析患者における電解質・酸塩基平衡異常―透析液を含めて
6. 透析液の適正なナトリウム濃度とは―高ナトリウム透析液を勧める立場から
大河原 晋
1
,
田部井 薫
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター腎臓内科
2南魚沼市民病院
キーワード:
血液透析
,
高Na透析液
,
循環動態
,
不均衡症候群
Keyword:
血液透析
,
高Na透析液
,
循環動態
,
不均衡症候群
pp.173-178
発行日 2019年2月10日
Published Date 2019/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000797
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血漿ナトリウム(Na)濃度より高いNa 濃度の透析液(高Na 透析液)を使用した血液透析(HD)は浸透圧較差により,細胞内液から細胞外液へと体液移動を促し,除水により減少した細胞外液および循環血液量を補うことにより,循環動態の安定化に有効である.さらに高Na 透析液を使用し細胞内外の浸透圧変化を抑制することにより,HD 導入期に認められる不均衡症候群の抑制にも有効であること,生命予後にも好影響を与えること,が報告されている.しかし,その使用の注意点として血漿浸透圧上昇を介した渇中枢の刺激,それに伴うHD間体重増加,さらには血圧上昇,などが挙げられる.不必要な高Na 透析液の使用は控えるべきであるが,循環動態の不安定な症例では検討する価値があると思われる.
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