特集 創造する透析医療―新たなmodalityへの期待と課題
【コラム】中性化した後発イコデキストリン含有腹膜透析液「ニコペリック腹膜透析液」は安全で有用か?―臨床試験の欠落への危惧
濱田 千江子
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1順天堂大学腎臓内科
pp.646-646
発行日 2017年6月10日
Published Date 2017/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000064
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中性化イコデキストリン透析液登場の背景:腹膜透析療法にかかわる者にとり,2014 年に上市された中性イコデキストリン透析液は,本邦の腎代替療法における腹膜透析療法が果たす役割の向上を期待させる明るい事象でした.ブドウ糖に代わる浸透圧物質として添加されているイコデキストリンは,8〜12 時間の長時間の腹腔内貯留下でも浸透圧を維持することから,限外濾過不全による体液過剰の症例においてその有効性を十分に発揮しています.しかし,2003 年から本邦で発売されているイコデキストリン透析液は酸性液であるため,腹膜中皮細胞や腹腔内のマクロファージや好中球の機能への影響が少なく,また腹膜透析患者の組織障害が低減されることが報告されている中性化が長く望まれていました.これらの背景をうけて従来のイコデキストリン透析液の後発医薬品として本透析液は発売されたわけです.
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