Japanese
English
公益社団法人日本麻酔科学会第70回学術集会講演特集号 学術委員会:学会賞記念講演
より安全な全身麻酔管理を目指す筋弛緩薬使用方法の臨床研究
Clinical studies for the safe and efficient use of neuromuscular blockade during general anesthesia
磯野 史朗
1
Shiroh ISONO
1
1千葉大学大学院医学研究院麻酔科学
キーワード:
筋弛緩
,
気道管理
,
呼吸合併症
,
再筋弛緩
,
筋弛緩モニター
Keyword:
筋弛緩
,
気道管理
,
呼吸合併症
,
再筋弛緩
,
筋弛緩モニター
pp.S139-S146
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2023130021
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
麻酔科学領域における臨床研究の目的は,患者が必要としている侵襲的治療や処置,検査を安全かつ快適に実施するための麻酔管理方法,全身管理方法を確立することである。筋弛緩薬は,より安全な全身麻酔導入と維持,より良い手術環境を外科医に提供するために有用な薬物であるが,使用方法が適切でなければ,その効果を十分発揮できず,また,手術後には,その効果は不要であり,筋弛緩効果が残存することで重篤な致死的呼吸器合併症の原因となる。副作用が少なく比較的調節性の良い短時間作用性非脱分極性筋弛緩薬ロクロニウムとその拮抗薬であるスガマデクスが臨床で使用可能となった現在,筋弛緩薬使用の安全性と有用性は大きく向上しているが,これらの薬物の使用方法に関してはまだまだ改善の余地がある。千葉大学大学院医学研究院麻酔科学では,より安全な全身麻酔管理を目指す筋弛緩薬使用方法の臨床研究を実施してきた1)~5)。本稿では一連の研究成果を踏まえて,特に今後研究が必要と考えられる術後残存筋弛緩に関する研究の歴史的経緯と文献的考察,さらに薬力学的・病態生理学的背景について議論し,今後の研究の方向性について私見を述べる。
Copyright © 2023 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.