投稿論文 短報
全身麻酔前後での握力の回復率は術後残存筋弛緩の予測となりえるか
興梠 聡志
1
,
丸田 豊明
,
村社 瑞穂
,
溜渕 昌美
,
君安 貴寛
,
恒吉 勇男
1宮崎市郡医師会病院 麻酔科
キーワード:
筋弛緩
,
術後管理
,
全身麻酔
,
握力
,
後向き研究
,
生体機能回復
,
Sugammadex
Keyword:
Anesthesia, General
,
Retrospective Studies
,
Muscle Relaxation
,
Sugammadex
,
Postoperative Care
,
Hand Strength
,
Recovery of Function
pp.851-854
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020373425
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全身麻酔前後での握力の回復率を後方視的に検討した。当院で全身麻酔を受けた患者73名(男性51名、女性22名)を対象とした。対象患者はすべて麻酔導入時にロクロニウムが投与され、必要に応じて追加投与されたが、その量およびタイミングは担当麻酔科医に一任された。必要な場合は麻酔覚醒時にスガマデクスを投与し、全例をスガマデクス非投与群(46名)と投与群(17名)に分けて比較した。麻酔時のロクロニウムの平均投与量はスガマデクス投与群で0.8±0.3mg/kg、非投与群で0.7±0.2mg/kgであり、有意差は認められなかった。また、スガマデクスの投与量は3.0±0.5mg/kgであった。いずれの投与量も男女間に有意差はなかった。全身麻酔前に比較して、麻酔後はスガマデクス非投与群では男女ともほとんどの症例で握力が低下したが、スガマデクス投与群では非投与群に比較して有意に高い握力の回復率を示した。対象患者において、術後カルテで重篤な合併症の発症は確認されなかった。麻酔科医が筋弛緩薬の拮抗は必要としないと判断した患者は、スガマデクスを投与した患者に比べて抜管後の握力の回復率が有意に低下していた。
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