投稿論文 短報
開腹腎部分切除術後に偽性腎不全を発症した1症例
吉村 三恵
1
,
山口 知紀
,
佐野 友里
,
鈴木 昭広
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
キーワード:
Creatinine
,
開腹術
,
血液透析
,
術後合併症
,
腎細胞癌
,
腎臓切除
,
急性腎障害
,
尿管疾患
Keyword:
Renal Dialysis
,
Laparotomy
,
Nephrectomy
,
Ureteral Diseases
,
Postoperative Complications
,
Creatinine
,
Carcinoma, Renal Cell
,
Acute Kidney Injury
pp.1328-1331
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021100629
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72歳女。右腎がんに対して開腹腎部分切除術を施行した。手術開始時には尿排泄を認めていたが、開始4時間後から排泄が認められなくなった。尿道カテーテルの閉塞は認めず、出血に伴う循環血液量減少が原因と考え輸液負荷を行った。しかし、術後も尿の流出はなく、KDIGOのAKI分類stage 2であった。術後1日目に呼吸状態が悪化し、血液検査でCreの上昇を認め、AKI分類stage 3の診断で緊急透析を行った。その後も週3回の透析を継続したが、無尿は続き、術後14日目にはCreが12mg/dlまで上昇した。この頃から発熱と血圧低下を認め、敗血症が示唆されたため感染源検索目的に造影CTを施行したところ、腹腔内に造影剤を認め、尿管損傷、尿溢流とそれに伴う腹腔内感染が強く疑われた。この時点で無尿の原因は尿管損傷に伴う偽性腎不全と考え、開腹ドレナージと尿管再吻合を行った。術中所見として肝前面と腎前後面にfluid collectionを認め、腎盂尿管移行部での尿管損傷に伴う尿漏れが確認された。再手術後8日目に透析を離脱し、1000ml/日以上の排尿が認められるようになり、Creは0.8mg/dl台で経過し退院となった。
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