投稿論文 短報
麻酔中投与薬物の血管外漏出後に呼吸抑制、意識障害を来した1症例
山口 聡
1
,
北村 治郎
1東葛病院 麻酔科
キーワード:
意識障害
,
術中合併症
,
診断物質と治療物質の遊出
,
全身麻酔
,
大腿骨骨折
,
Remifentanil
,
Rocuronium
,
Sevoflurane
,
慢性腎臓病
,
Sugammadex
,
呼吸抑制
Keyword:
Anesthesia, General
,
Extravasation of Diagnostic and Therapeutic Materials
,
Respiratory Insufficiency
,
Intraoperative Complications
,
Sugammadex
,
Remifentanil
,
Rocuronium
,
Sevoflurane
,
Femoral Fractures
,
Consciousness Disorders
,
Renal Insufficiency, Chronic
pp.1194-1196
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021050828
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
85歳女。右大腿骨転子部骨折に対して全身麻酔下に観血的整復固定術を施行した。末梢静脈路は術前から病棟において20ゲージの留置針で左前腕伸側に確保されていた。穿刺部は固定部位に包帯が巻かれていたが、滴下は良好で疼痛もなかったため、確認せずにそのまま麻酔を導入した。導入はフェンタニルとプロポフォールで入眠を確認後、ロクロニウムを投与した。手術開始40分後に点滴下が不良になったため前腕静脈路の包帯を外したところ、静脈路周囲を中心に左前腕が腫脹していた。このため右前腕部に改めて静脈路を確保した。手術時間は70分で、手術終了後20分間経過観察し、呼吸状態が安定していることを確認のうえ病棟へ帰室とした。帰室60分後から意識レベルが徐々に低下し、SpO2が90%以下に低下した。呼名に反応せず、酸素マスク下で用手換気しながらナロキソンを投与したが改善はみられなかった。TOFウォッチを左尺骨神経上に装着し、母指内転筋の筋弛緩をモニタリングしたところ、TOFカウントは1であった。スガマデクスを投与したところ速やかに呼名開眼し、自発呼吸も出現した。呼吸抑制・意識障害を生じ主な原因として、麻酔導入時に投与したロクロニウムが血管外(皮下)に漏出して徐々に再吸収されたことが考えられた。
Copyright© 2020 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.