投稿論文 短報
抜管後に低換気となった低クロール血症性代謝性アルカローシス合併患者の麻酔管理
小川 舜也
1
,
谷奥 匡
,
川股 知之
1和歌山県立医科大学 麻酔科学教室
キーワード:
Acetazolamide
,
消化管疾患
,
硬膜外麻酔
,
低換気
,
術後合併症
,
全身麻酔
,
気管チューブ抜管
,
アルカローシス-代謝性
,
胃空腸吻合術
,
低塩素血症
Keyword:
Anesthesia, Epidural
,
Anesthesia, General
,
Gastrointestinal Diseases
,
Gastroenterostomy
,
Hypoventilation
,
Acetazolamide
,
Postoperative Complications
,
Airway Extubation
pp.861-864
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020373427
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症例は62歳男性で、数日前から頻回の嘔吐、腹痛が出現したため当院を受診し、膵がんの局所再発と診断された。腹部コンピュータ断層撮影で十二指腸の狭窄と多量の胃内容物を認めたため、胃空腸バイパス術が予定された。手術2日前の血液検査では著明な低クロール血症を認め、麻酔方法は迅速導入を予定した。麻酔はプロポフォール80mgで導入し、ロクロニウム70mgで筋弛緩を得たのちに気管挿管した。人工呼吸開始13分後に100%酸素投与下で動脈血血液ガス分析を施行したところ、著明な低クロール性代謝性アルカローシスを認めた。術中の輸液は血清Cl値が低いため、ヒドロキシエチルデンプンと1%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を投与した。術中はEtCO2 45mmHg程度で管理した。抜管10分後に室内気で動脈血血液ガス分析を施行すると著明な代謝性アルカローシスと代償性の高二酸化炭素血症を認め、経鼻酸素2L/minで呼吸状態を観察し、Aldreteスコアが10点であることを確認して病棟へ退室した。
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