投稿論文 短報
肝左葉切除後に胃内容貯留傾向が持続した1症例
稲吉 梨絵
1
,
江村 彩
,
山本 博俊
,
肥川 義雄
1東京都立多摩総合医療センター 麻酔科
キーワード:
胃液
,
胃内容排出
,
肝切除
,
肝臓腫瘍
,
術後合併症
,
消化器徴候と症状
,
肺炎-誤嚥性
,
副腎腫瘍
,
副腎摘出術
,
胃内容物の誤嚥
Keyword:
Gastric Emptying
,
Gastric Juice
,
Signs and Symptoms, Digestive
,
Adrenal Gland Neoplasms
,
Adrenalectomy
,
Liver Neoplasms
,
Hepatectomy
,
Pneumonia, Aspiration
,
Postoperative Complications
,
Respiratory Aspiration of Gastric Contents
pp.550-553
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020305405
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症例は74歳男性で、他院で直腸がんに対し腫瘍切断術を受け、その1年後に肝転移が見つかり当院に転院、肝左葉切除術を施行した。術後第2病日より食事を開始し、経過順調により第9病日に退院となった。肝左葉切除の1年後に右副腎転移がみつかり副腎摘出術を施行、1.5年後に同部位に再び転移性腫瘍が出現した。副腎組織残存を疑い、再度右副腎切除術を予定した。しかし、麻酔導入時のマスク換気後に口腔内に胃液が多量に在留しており、誤嚥ありと判断した。手術は延期とし、覚醒させて抜管の後に経過観察目的で集中治療室へ入室となった。その後、胃液誤嚥による化学性肺炎を発症し、肺炎改善後に手術を施行した。2回目の副腎摘出術の麻酔導入時に予期せぬ誤嚥を引き起こしたため、術前のCT画像を見直したところ、肝左葉切除後から胃幽門部、十二指腸球部に肝切離面にできた囊胞が癒着し、空腹時に胃内容液量が多くなっていることが確認できた。
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