発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005231006
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進行肝細胞癌は経皮的肝灌流をはじめ新治療法の導入により肝内病変の制御が向上した一方で,改めて肝外病変の制御が次の課題としてクローズアップされている.しかしこれに対する有効な治療法はいまだ確立されていない.遠隔転移では肺転移がもっとも頻度が高いが,多発性のことが多く,肺切除の適応となる症例は少ない.リンパ節転移はskip metastasisを認めることがあり,孤立性であれば切除で予後の改善が得られるとの報告が散見され,筆者らも積極的切除に肝病変を経皮的肝灌流で制御することで中~長期生存例を経験している.副腎転移も他部位がコントロール可能であれば切除により予後の改善が得られる.骨転移や脳転移は手術の対象となる場合は少なく,放射線療法や全身化学療法に委ねるべきと考える.いずれにしても遠隔転移は進行肝細胞癌の終末像であるが,従来積極的な治療の対象にならなかった症例でも,肝内病変の強力なコントロールにより遠隔転移巣が次の治療課題として認識される時代が到来している
©Nankodo Co., Ltd., 2005