投稿論文 短報
無鎮静局所麻酔下で経カテーテル大動脈弁置換術を施行した症例経験
村上 幸太郎
1
,
甲谷 太一
,
藤田 ミキ
,
國徳 裕二
,
加藤 清彦
,
原武 義和
1済生会熊本病院 中央手術部
キーワード:
局所麻酔
,
脊椎炎-強直性
,
大動脈弁狭窄症
,
Levobupivacaine
,
経カテーテル大動脈弁置換術
Keyword:
Aortic Valve Stenosis
,
Anesthesia, Conduction
,
Spondylitis, Ankylosing
,
Levobupivacaine
,
Transcatheter Aortic Valve Replacement
pp.546-549
発行日 2020年5月10日
Published Date 2020/5/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020305404
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症例は71歳男性で、大動脈弁狭窄症を経過観察されていたが重症化し、当院紹介となった。患者は20代後半から強直性脊椎炎を発症し、全脊椎が固定され、第2頸椎がわずかに可動性を持つのみであった。術前検査では、首の可動性がなく、後屈は不可能であった。全身CT検査上、脊椎は竹様脊柱で頸椎から胸椎にかけて後彎が激しく、それに伴い胸部の変形も認めた。経胸壁および経食道心エコー検査上、二尖弁の可能性を指摘され、高度大動脈弁狭窄症を認めた。ハートチームによるカンファレンスの結果、経大腿動脈アプローチによる経カテーテル大動脈弁置換術の方針となった。挿管困難症が予想されたため、鎮静せずに局所麻酔のみで管理することにした。両側鼠径部に0.25%レボブピバカイン30mlを用いて穿刺部位に局所麻酔を行い、左大腿動静脈にそれぞれ8Fr 25cm、6Fr 25cmのシース、右大腿動脈に8Fr 11cmのシースが挿入されたが、患者の痛みの訴えも体動もなかった。左室造影後、ラピッドペーシングを用いて合計4回のバルーン拡張術を行い、14Frインラインシースが右大腿動脈から挿入された。デリバリーカテーテルシステムが大動脈弁まで到達したが、患者は痛みを訴えず静止できていた。術後2日目に集中治療室から病棟へ退室し、術後10日目に退院となった。
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