投稿論文 症例
白唇・赤唇にまたがる上口唇皮膚欠損に対しPacman flapによる再建を行った1例
宮林 亜沙子
1
,
四ツ柳 高敏
,
北田 文華
,
権田 綾子
,
加藤 慎二
,
濱本 有祐
,
山下 建
,
香山 武蔵
1札幌医科大学 形成外科
キーワード:
外科的皮膚弁
,
皮膚疾患-顔面
,
母斑-色素性
,
口唇形成術
Keyword:
Facial Dermatoses
,
Surgical Flaps
,
Nevus, Pigmented
pp.972-975
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021348904
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症例は生後6ヵ月女児で、右上口唇に赤唇、白唇にまたがる8×8mm大、平坦で境界明瞭な黒色斑を認めた。1歳3ヵ月時、全身麻酔下に手術を施行した。赤唇縁にピオクタニンで刺青を行った後、腫瘍辺縁からわずかに離し、皮下組織を一部つけて切除した。生じた欠損外側の隣接部位に、白唇・赤唇両方を含み、欠損を挟み込むような形でPacman flapをデザインした。欠損は皮膚のみであったため、赤唇の切開線は皮膚、粘膜の境界に一致させ、皮弁に粘膜は含まないようにした。幅は欠損よりやや広めとし、長さは欠損の横径とほぼ同じになるようデザインした。手術終了時、赤唇縁は連続し、口唇形態もほぼ左右対称であった。術後の病理組織学的検査では母斑細胞母斑の診断であり、切除断端は陰性であった。術後3ヵ月程度は皮弁全体に若干のtrap door変形を認めたが、その後平坦化した。現在、術後2年6ヵ月が経過し、自然な赤唇縁口唇全体の左右対称性が維持されている。瘢痕も目立たず、整容的に良好である。
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