特集 形成外科「チャンピオン」症例集
局所皮弁による段階的アプローチの有効性を再認識した1例 複雑な中顔面組織欠損の再建
冨田 興一
1
,
久保 盾貴
1大阪大学 医学部形成外科
キーワード:
顔面
,
顔面腫瘍
,
外科的皮膚弁
,
生検
,
皮膚疾患-顔面
,
皮膚腫瘍
,
皮膚外科
,
Microcystic Adnexal Carcinoma
Keyword:
Face
,
Facial Neoplasms
,
Facial Dermatoses
,
Skin Neoplasms
,
Surgical Flaps
,
Biopsy
,
Dermatologic Surgical Procedures
,
Microcystic Adnexal Carcinoma
pp.22-25
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2021131236
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症例は77歳男性で、右上口唇の腫瘤を主訴とした。排膿や出血を伴う右口唇の結節と徐々に増大する右鼻翼部の結節を認め、生検にてmicrocystic adnexal carcinomaと診断された。拡大切除により右上口唇の半分と右鼻翼の全層欠損のほか、鼻柱と鼻唇溝に至る皮膚欠損を生じたため、複数の局所皮弁を用いた段階的アプローチによる再建を行った。外側からの局所皮弁と尾側からの島状皮弁により鼻翼と頬部皮膚を被覆するとともに、左下口唇動脈を茎とするAbbe皮弁を挙上して上口唇欠損を再建し、鼻柱への全層植皮と修正手術を行った。最終手術後1年6ヵ月で局所再発は認めず、整容的にも機能的にもほぼ満足する結果であった。自然な整容性が得られる本法は、特に皮膚量に余裕のある痩せ型の高齢者においては非常に有効な選択肢になり得ると考えられた。
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