特集 CQ&図解で学ぶ 生殖医療の基礎講座
Ⅵ 不育症
CQ 32 不育症の原因となる疾患にはどのようなものがあるか?
後藤 志信
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科産科婦人科学
pp.1379-1387
発行日 2025年11月30日
Published Date 2025/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003641
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A
▶唯一治療効果のエビデンスがある抗リン脂質抗体症候群(APS)を適切に診断し,低用量アスピリン・未分画ヘパリン療法を行う。
▶先天性子宮形態異常は不育症の原因であるが,手術による出産率改善効果は証明されていない。
▶カップルの染色体均衡型転座が認められた場合,均衡型もしくは構造異常のない配偶子が形成されれば生児獲得に至る。自然妊娠でも累積的に68~83%が出産に至り,染色体転座のない患者と同等である。
▶既往流死産における胎児(絨毛)染色体検査実施の有無,その結果について確認する。既往流産回数が多いほど染色体正常流産が増え,染色体異数性流産は染色体正常流産より次回妊娠予後が良好である。
▶糖尿病や甲状腺機能異常は流産だけでなく,その後の周産期予後にも関連するため,検査を行い異常があれば治療の対象となる。
▶原因不明不育症患者は薬物投与をせずとも2回流産で80%,3回流産で70%,4回流産で60%が出産でき,累積的に85%が出産可能である。

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