症例
再発卵巣癌維持療法中に,酸化マグネシウム製剤と活性型ビタミンD製剤の併用により急性腎不全をきたしたミルクアルカリ症候群の1例
松山 泰寛
1
,
長船 綾子
1
,
加藤 頼香
1
,
竹中 実咲
1
,
小林 眞子
1
,
佐藤 亜理奈
1
,
黒田 啓太
1
,
鈴木 祐子
1
,
永井 孝
1
,
梅津 朋和
1
Y. Matsuyama
1
,
A. Osafune
1
,
Y. Kato
1
,
M. Takenaka
1
,
M. Kobayasi
1
,
A. Sato
1
,
K. Kuroda
1
,
Y. Suzuki
1
,
T. Nagai
1
,
T. Umezu
1
1医療法人豊田会刈谷豊田総合病院産婦人科
pp.1139-1142
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003582
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近年,高齢者の増加に伴い骨粗鬆症患者も増えており,炭酸カルシウム製剤やビタミンD製剤の使用が増加している。また,便秘患者に対して酸化マグネシウム錠は一般的に処方されている。今回,オラパリブによる再発卵巣癌維持療法中に,酸化マグネシウム製剤と活性型ビタミンD製剤の併用により急性腎不全をきたし,ミルクアルカリ症候群と診断した1例を報告する。症例は75歳女性,便秘の訴えに対して酸化マグネシウム製剤を処方した。1カ月後,血液検査で高カルシウム血症と腎機能障害を認めたため,内服薬を確認すると,半年前から活性型ビタミンD製剤を内服していた。ミルクアルカリ症候群を疑い,酸化マグネシウム製剤を中止すると,速やかに高カルシウム血症と腎障害は改善した。高齢者の診療においては,内服薬の確認を含めた背景因子の把握に努め,高カルシウム血症を認めた場合はミルクアルカリ症候群を念頭におく必要がある。

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