症例
重症妊娠悪阻罹患中のRefeeding syndromeが原因と考えられる子宮内胎児死亡の2例
國友 紀子
1
,
伊藤 恵
1
,
金西 賢治
1
N. Kunitomo
1
,
M. Ito
1
,
K. Kanenishi
1
1香川大学医学部附属病院周産期科女性診療科
pp.537-542
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003402
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Refeeding syndrome(RFS)は,低栄養状態にある患者に急激な栄養補充を行った際,血糖や電解質異常により重篤な合併症をきたす病態である。当院では重症妊娠悪阻を契機としてRFSを発症し,RFSが原因と考えられる子宮内胎児死亡(IUFD)に至った2症例を経験した。長期にわたる経口摂取不良と体重減少の割合からは,RFS発症高リスク群に該当する症例であり,より少量からの慎重な栄養投与が必要であった。RFSからIUFDに至る機序は明らかになっていないが,RFSにおける低リン血症や低カリウム血症などの母体の電解質異常が,胎児にも致死的な影響を及ぼす可能性が示唆されている。妊娠悪阻における重症度評価と適切な輸液が重要である。

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