症例
重症妊娠悪阻からWernicke脳症とRefeeding症候群を発症した1例
箕浦 麻陽
1
,
藤田 太輔
1
,
佐野 匠
1
,
鈴木 裕介
1
,
寺井 義人
1
,
大道 正英
1
1大阪医科大学産婦人科学教室
pp.721-725
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209451
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▶要約
Wernicke脳症はビタミンB1欠乏による代謝性脳症である.今回,重症妊娠悪阻から発症したWernicke脳症およびRefeeding症候群の1例を経験したので報告する.
症例は初産婦,妊娠7週より嘔気・嘔吐が持続,妊娠9週より経口摂取不可能な状態が持続し,3か月で12kgの体重減少を認めた.妊娠19週より全身倦怠感が増悪し,子宮内胎児死亡を確認した.また同日ブドウ糖輸液で点滴加療したところ意識障害を認め,高血糖563mg/dLを認めたことから,糖尿病性ケトアシドーシスを疑い当院に搬送となった.高血糖については精査の結果,Refeeding症候群と診断し,生理食塩水投与のみで改善を認めた.また頭部MRIでWernicke脳症と診断し,ビタミンB1大量療法により神経症状は速やかに改善した.重症妊娠悪阻から発症したWernicke脳症の治療にはビタミンB1の大量投与が必要であり,また経口摂取できない状態が長期間続いた場合に,急激なブドウ糖補充を行うとRefeeding症候群となるため注意する必要がある.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.