ケースレポート
重症妊娠悪阻患者の看護
長澤 弥生
1
,
鈴木 式子
2
,
奈良 紀紘
3
1山形県公立高畠病院産婦人科病棟
2山形県公立高畠病院
3山形県公立高畠病院産婦人科
pp.949-952
発行日 1995年11月25日
Published Date 1995/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901359
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妊娠悪阻の原因は,いまだ不明であるが環境・精神的要素がきわめて大きく作用すると言われている。今回私たちが看護したケースは,胎芽胎内死亡の妊娠歴を2回持ち,3度目の妊娠時には,重症悪阻のために長期入院となり,一時は妊娠継続が無理かと思われた経験を持つ妊婦である。
今回の妊娠では,経口摂取が不可能となったため妊娠7週に入院。栄養障害による体重減少が著しく,妊娠11週にIVH挿入となった。入院時より症状を増強させる要因を把握し,患者の精神的ストレスの緩和を重視しながら,生活指導・心理的援助・全身状態の改善に努めた。患者は依存心の強い性格(看護サイドの判断)であったが,家族や医療スタッフの支援により経過良好となり,1週間目には経口摂取が可能となった。
しかしIVH抜去,実母の帰郷,主治医の不在などさまざまな要因から,精神面でのコントロールが不安定となるとともに症状の増強がみられ,数日後には妊娠継続を拒否する言動もみられた。再度IVH挿入となった。
しかし,看護の働きかけにより,数時間後には経口摂取可能という予測しなかった,うれしい変化が起きた。この看護経験を通して,家族と医療スタッフが協力し長期にわたり,心身および生活面を支援していくことがいかに重要であるか,改めて確認したのでここに報告する。
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