特集 患者報告型アウトカム ~患者の体験をケアに活かす~
【がん看護において患者報告型アウトカムとして使われる主なツール】
IPOS
石井 容子
1
,
宮下 光令
2
Yoko ISHII
1
,
Mitsunori MIYASHITA
2
1自治医科大学看護学部基礎看護学分野
2東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
pp.624-629
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_624
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はじめに
わが国では緩和ケアの評価ツールとして,英国で開発された医療スタッフの評価によるSTAS (Support Team Assessment Schedule)1)の日本語版であるSTAS-J(Support Team Assessment Schedule-Japanese version)2,3)が,緩和ケアにおいて臨床や研究で広く用いられてきた.STAS-Jは現在,緩和ケアチームや緩和ケア外来では約90%,緩和ケア病棟では約60%が使用している.また,がん患者指導管理料(ロ)の算定要件に含まれているため,一般病棟やがん看護外来でも緩和ケア対象の患者のスクリーニングに広く使われている.IPOS(Integrated Palliative care Outcome Scale)は,このSTASの最新の後継版にあたる.その特徴は,患者版と医療者版の2つがあり,患者・医療者両方の評価が可能なことにある.わが国では,IPOSの臨床での使用はまだ少ないが,IPOSについての分科会やワークショップを学会で開催しており,今後のIPOSの活用が期待されている.そして,海外ではすでに,緩和ケアの主要な評価ツールとしてSTASがIPOSに置き換わったように,わが国でも,今後はSTAS-JがIPOS日本語版に置き換えられていくだろう.STAS-JとIPOS日本語版の違いを表1に示す.
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