特集 フローチャートでわかる 婦人科外来診療パーフェクトブック
Ⅲ 腫瘍
26.子宮内膜症
谷口 文紀
1
F. Taniguchi
1
1鳥取大学医学部産科婦人科学(教授)
pp.1272-1277
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003161
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
子宮内膜症は,疼痛と不妊という2大主徴により女性のQOLを害し,女性活躍と少子化が問題となる現代社会に重大な影響を及ぼす。本症は,生殖年齢女性のおよそ10%に発生するとされる。近年,罹患率増加が指摘されており,その原因として,ライフスタイルの変化による月経回数の増加や,画像診断技術や腹腔鏡の発達による診断精度の向上が寄与している。しかしながら,医療機関を受診していない潜在的患者が多いことから,正確な罹患率を把握することは難しい。疼痛を訴える患者に対しては,ホルモン療法と腹腔鏡手術を駆使して卵巣機能の温存を図りながら,個々のライフステージに応じた治療を施す。子宮内膜症合併不妊患者に対して,画一的な治療方針を示すことは難しいが,常に生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)への移行を考慮して,手術を行う場合には,年齢,手術侵襲による妊孕性低下,不妊治療歴などに配慮する。悪性転化,早産や前置胎盤などの産科合併症等との関連についても注目されており,慎重な対応を要する。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.