臨床経験
当科にて腹腔内器具遺残の有無を確認するために施行した術後腹部X線画像の検討
吉田 剛祥
1
,
奥口 聡美
1
,
鈴木 聡一郎
1
,
曽山 浩明
1
,
谷口 文章
1
T. Yoshida
1
,
S. Okuguchi
1
,
S. Suzuki
1
,
H. Soyama
1
,
F. Taniguchi
1
1高の原中央病院産婦人科
pp.841-846
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002646
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手術器具やガーゼ遺残をなくす取り組みは,「WHO安全な手術のためのガイドライン」などで公にも注意喚起されており,また各施設でも対応しているはずであるが,遺残事故に関する報道や報告は,今も後を絶たない。特に最近は手術器具そのものの遺残ではなく,手術器具の破損部品の遺残についての報告が散見されようになってきた。今回,当院にて手術を施行した1,590症例のうち897症例に対し,術後X線撮影を行い,手術器具やガーゼ遺残の対策について検討した。今回検討した症例中,ガーゼや手術器具の遺残は認めることはなかったが,造影剤の残存や石灰化像を認め,遺残物との鑑別に注意を要した。できれば術前に腹部のX線を撮影し,術後のX線と比較すること,X線の撮影は,腹腔内全体が写るように撮影すること,腹腔鏡の手術器具では,高熱や力のかかる器具の破損の有無に特に注意することなどの対策が考えられた。微小な遺残物の健康被害については,はっきりした報告はないが,不必要な異物の遺残は,できる限り避けるべきだと考える。
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