私の一推し免疫染色
カルシトニン免疫染色―家族性腫瘍を見つける
加藤 哲子
1
1山形大学医学部人体病理病態学
pp.942-943
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101849
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はじめに
アメリカのE.A.ポオの作品に「黄金虫」という短編がある.海賊が残した暗号を解読して隠された宝物を探し当てる,という話である.暗号は1枚の羊皮紙に記されているのだが,一見,何も書かれていない紙である.この紙きれを手にした主人公が友人の家で犬に飛びつかれ,うっかり暖炉の火で焦がしてしまう.そして気がつくとそこに今まで見えなかった謎の記号が浮かび上がっているのだ.
われわれが免疫染色を行うとき,多くの場合は調べたい病変があらかじめ決まっていて,それが陽性となるか陰性となるか,を問題にする.けれども,場合によっては見過ごされていた病変の存在自体が,免疫染色で浮かび上がってくることもある.今回は,そのようなケースを家族性甲状腺髄様癌を例に紹介してみたい.
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