特集 日本の周産期メンタルヘルス事情update
4.胎児・児童虐待予防と周産期メンタルヘルス
上野 千穂
1
C. Ueno
1
1京都市第二児童福祉センター診療所
pp.599-605
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001746
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胎児・児童虐待の予防は,妊娠した女性の生い立ちを理解することから始まる。すなわち,妊婦はどのような環境で産まれ育ち,養育されたのか,どのようにパートナーを選び,妊娠することになったのか,そして現在の生活環境はいかなるものかを聞き取り,母子およびその家族をどのように支援していくかプランニングすることが虐待予防に重要である。ハイリスク妊婦,特定妊婦など支援の必要な妊婦と出会った場合は,産後も途切れない支援を行えるように多職種連携を行い,育児がスタートした後は,ボンディングに関する悩みがないか,抑うつ気分など感情面で気になることがないか,子どもの発達面で心配なことはないか,DVなど家族のサポートが滞っていないかなどを多角的に観察し,必要時には母子支援を行う行政機関や精神科医療につなぐことが大事である。子どもたちを守るために,養育者が虐待をしなくてもいい家庭環境構築の一助になれるよう,われわれ医療従事者も常に研鑽していく必要がある。
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