特集 ワクチンの安全性と社会学—HPVワクチンの接種はなぜ広まらないのか?—
Ⅰ.感染性疾患とワクチンにまつわる諸問題
3.感染症とワクチンのコミュニケーションで「何を」伝えるか
奥原 剛
1
,
岡田 宏子
1
,
木内 貴弘
1
T. Okuhara
1
,
H. Okada
1
,
T. Kiuchi
1
1東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野
pp.263-269
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001655
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人々に対して感染症に対する適切な予防行動を促し,ワクチンの効果と安全性を伝え接種を勧めるために,どのようなコミュニケーションをすればよいのだろうか。筆者はこれまで,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンや新型コロナウイルス感染症を題材に,行動変容を促すコミュニケーションを研究してきた。それらの研究からわかったのは,医療・公衆衛生の専門家のコミュニケーションの内容には偏りがあり,その偏った内容は,行動変容を促す目的においては弱点になりかねない,ということだ。本稿では,筆者らが行ってきた研究結果と認知心理学,進化心理学の知見を踏まえ,人々の適切な行動変容を促すために「何を伝えたらよいか」を考察する。
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