特集 ワクチンの安全性と社会学—HPVワクチンの接種はなぜ広まらないのか?—
Ⅰ.感染性疾患とワクチンにまつわる諸問題
4.ワクチン接種後の「有害事象」が社会に及ぼす影響
森内 浩幸
1
H. Moriuchi
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学
pp.271-280
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001656
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ワクチンの有害事象のなかには,ワクチンとの因果関係が明らかな副反応とワクチンとは無関係の出来事が含まれる。副反応がゼロのワクチンは存在せず,重要なことはベネフィット(疾患予防)とリスク(副反応)のバランスであり,前者が明らかに後者を上回ることを確認する。また,ワクチンとはまったく無関係の有害事象(紛れ込みや濡れ衣)への恐れから,ワクチン忌避につながることがある。本稿では,国内の事例(百日咳ワクチン脳症,MMRワクチン接種後無菌性髄膜炎,同時接種後の突然死)と海外におけるMMRワクチンと自閉症の問題を取り上げて,誤解や偏見が起こった経緯とその結果生じた健康被害についてまとめる。
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