特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第4章 心臓以外の超音波検査
12.多胎妊娠
-d.双胎貧血多血症(TAPS)
石井 桂介
1
K. Ishii
1
1大阪母子医療センター産科
pp.1562-1564
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001553
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一絨毛膜双胎の1児の貧血と他方の児の多血を呈する疾患を双胎貧血多血症(twin anemia-polycythemia sequence;TAPS)という。胎盤に極めて細い動脈-静脈(AV)吻合を認めるのが特徴的で,太いAV吻合は約1割と少ない。極めて細いAV吻合を介して赤血球の不均衡が生じるため発症するとされている。本症には,自然発生(一絨毛膜双胎の3〜5%程度)と胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(fetoscopic laser photocoagulation of communicating vessels;FLP)後の医原性のもの(FLP後の2〜13%程度)がある1)2)。供血児は,低酸素に関連する予後不良のリスクがあり,神経学的異常の頻度が高い3)。一方,受血児は,多血に伴う過粘稠度症候群による臓器障害が問題となる。供血児,受血児ともに,死亡や神経学的異常を含む予後不良から予後良好のものまで様々である1)2)。
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