特集 発生から紐解く 胎児超音波診断アトラス [Web動画付]
第4章 心臓以外の超音波検査
12.多胎妊娠
-f.Selective IUGR—胎児発育から見た一絨毛膜二羊膜双胎の診断—
高橋 雄一郎
1
Y. Takahashi
1
1岐阜県総合医療センター胎児診療科・産科
pp.1568-1571
発行日 2020年11月30日
Published Date 2020/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001555
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一絨毛膜二羊膜(monochorionic diamniotic;MD)双胎においては,病態として羊水量較差〔双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusion syndrome;TTTS)およびその前段階であると考えられる双胎間羊水不均衡(twin-amniotic fluid discordance;TAFD)〕の軸と一児が胎児発育不全(fetal growth restriction;FGR)を呈する一児発育不全(selective intrauterine fetal growth retardation;selective IUGR)という発育不全の軸が多元的に重ね合わさってリスクが高まっている(図1)。羊水量の評価から最大羊水深度(maximum vertical pocket;MVP) 2cm未満,8cm以上を同時に満たした場合には胎児鏡を用いたレーザー治療〔わが国では胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(fetoscopic laser photocoagulation of communicating vessels;FLP)〕が行われ,効果を挙げている1)2)。しかし,羊水量の格差がFLPの適応を満たさないselective IUGRはMD双胎の10〜15%に発症するとされ,予後不良となるケースが報告されており3)4),生存率に加えて,FGR児ではない他児においても重篤な後遺症を残す。これらをいかに防ぎ,少しでも予後の改善を図ることができないか,次なる残された課題として現在も研究が進んでいる。
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