今月の臨床 妊婦と胎児の栄養管理
異常妊娠と栄養管理
多胎妊娠
小林 暁子
1
,
竹田 省
1
1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.284-289
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100053
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はじめに
ART(assisted reproductive technologies)の進歩に伴い多胎妊娠分娩件数は急増し,早産未熟児,子宮内胎児発育遅延(IUGR)管理によるNICUベッドの長期間占拠は周産期医療の大きな問題となっている.適切な栄養管理は最適な胎児発育・発達を促し,母体の健康にも関与する(Position of the American Dietetic Association, 2002)し,妊娠初期および胎児期の栄養は成人になったときの罹病率・死亡率と関係しているという報告1)や不適切な栄養管理は児の罹病率,死亡率の上昇や二次的な幼小児期の発育発達障害を起こす報告2)がなされている.このため単胎よりリスクが高い双胎での母体栄養管理はいっそう重要である.
しかし,単胎妊娠では栄養摂取基準が設定されているが,多胎妊娠では必要栄養量が増加することは知られているが,摂取基準は決められていないのが実状である.また,双胎妊娠中の体重増加量の正常範囲や効果的な栄養指導方法など未解決な問題も多い.ここでは多胎妊娠と各種栄養素,妊娠前体重,妊娠中の体重増加,多胎妊婦教育プログラムについて述べる
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