綜説
房水流出路の科学と薬物治療
井上 俊洋
1
1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座
キーワード:
緑内障
,
眼圧
,
房水
,
薬物
Keyword:
緑内障
,
眼圧
,
房水
,
薬物
pp.543-546
発行日 2022年6月5日
Published Date 2022/6/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002657
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房水は無血管組織である角膜や水晶体にとって血液の代わりとなって前房,後房を循環し,その機能を支えている。そのため,房水の異常はこれらの組織の疾患の発症や進展に関わっている。さらに,房水の産生と流出のバランスの破綻は,眼圧の異常となって緑内障や低眼圧黄斑症などの原因となり,視機能を脅かす。したがって,房水の循環を考えることは,さまざまな眼疾患の病態の理解につながり,その治療薬の作用機序とも結びついている。緑内障においては,房水産生を減らすことと,房水流出を増やすことによって眼圧を下降させることが,現時点では唯一の根拠のある治療手段である。ここでは,房水流出路組織の機能と構造,およびこれに作用する薬剤について考察する。
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