臨床経験
当院女性アスリート外来における思春期遅発症・原発性無月経の実態調査
佐藤 杏奈
1
,
長井 咲樹
1
,
北出 真理
1
A. Sato
1
,
S. Nagai
1
,
M. Kitade
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院産婦人科
pp.1113-1118
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001429
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女性アスリートの三主徴(FAT)が注目されるようになり,当院女性アスリート外来に月経発来の遅延を主訴に受診する患者が増加した。女性アスリートにおける初経発来の遅延率は一般女性よりも高く,競技年齢開始との関連性が報告されている。本稿では,月経発来の遅延を主訴に受診した女性アスリートに行った調査について述べる。思春期遅発症・原発性無月経の原因の大部分は摂取可能エネルギー不足であり,持久・審美系競技に多く,競技を二次性徴前に開始したアスリートに多かった。骨密度の低下を認める思春期遅発症も多く,栄養面などの治療介入の検討を要した。また,無月経のなかに先天性疾患も含まれ,詳細な問診と婦人科ガイドラインに沿った診断が重要だった。女性アスリートの診療は栄養指導,精神サポート,整形外科的治療など産婦人科医のみでなく,多角的な側面からの総合的支援が重要である。
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