診療
生殖年齢女性に発症するリンパ脈管筋腫症の病態と産婦人科診療での問題点
福岡 佳代
1
K. Fukuoka
1
1JR東京総合病院産婦人科
pp.1105-1111
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001428
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リンパ脈管筋腫症(LAM)は肺,後腹膜・骨盤内リンパ節,縦郭,腎臓などに平滑筋様細胞が過形成する疾患で,有病率は100万人に1.9~4.5人と低いものの病態の解明が徐々に進み,国家試験の常識疾患となり,臨床現場で耳にする機会が増えてきた。LAM細胞は結節性硬化症(TSC)の原因遺伝子といわれるTSC遺伝子の変異により形質転換した腫瘍細胞といわれているが,LAMの多臓器病変の病理組織からエストロゲンレセプターやプロゲステロンレセプターが多数報告され,妊娠や女性ホルモン剤で悪化,産褥および閉経で緩和することよりエストロゲンやプロゲステロン,さらにはプロラクチンとの関わりも報告されている。発症者は女性,特に生殖可能年齢に多いことから,産婦人科医も情報を共有すべき疾患と考える。LAMを有する女性の妊娠,避妊,月経随伴症状や子宮内膜症の治療など,産婦人科として携わる機会は多い。国内外でLAM合併妊娠が報告されているが,子宮内膜症合併例の治療についての報告はほとんどない。抗エストロゲン療法によるLAM治療の報告も複数あるが見解は一致していない。
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