特集 着床前診断—現状と近未来の方向性—
各論
8.ミトコンドリア病に対する着床前診断と核移植
久野 貴司
1
,
立花 眞仁
1
T. Kuno
1
,
M. Tachibana
1
1東北大学医学部産科学婦人科学教室
pp.861-866
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001363
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非メンデル式遺伝疾患であるミトコンドリア病の発症防止と次世代への伝搬防止策として着床前遺伝子診断(PGT)と核移植が提唱されている。劇的なヘテロプラスミーの変化をもたらす遺伝的浮動は,卵子形成過程でのボトルネック効果に加え,卵子形成過程を介さない着床期周辺の受精卵から胎児までにおいても生じることが提唱されている。PGTの適応や結果の解釈については遺伝的浮動を考慮した十分な議論が必要であると考えられる。一方,核移植を用いたミトコンドリア置換法(MRT)の安全性と有効性を担保するには長期間のデザインされた検討が必要である。
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