臨床経験
体外受精・胚移植における3D/4D超音波解析による移植部位と妊娠率の検討
尾野 夏紀
1
,
熊澤 由紀代
1
,
高橋 和政
1
,
富樫 嘉津恵
1
,
白澤 弘光
1
,
佐藤 亘
1
,
寺田 幸弘
1
N. Ono
1
,
Y. Kumazawa
1
,
K. Takahashi
1
,
K. Togashi
1
,
H. Shirasawa
1
,
W. Satou
1
,
Y. Terada
1
1秋田大学医学部附属病院産婦人科
pp.781-787
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001338
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【目的】体外受精・胚移植において,子宮内腔の移植至適部位の評価は確立されていない。3D/4D経腟超音波を用いて胚移植部位を同定し,妊娠率との関係を検討した。
【方法】2016年5月〜12月,当院での良好胚移植105周期を対象とした。Voluson™ E10 3D/4D経腟超音波にて子宮内膜厚,子宮内膜体積,および子宮底部・左右卵管角間の中央・子宮内膜中央から移植胚までの距離を測定し,妊娠群と非妊娠群を比較検討した。
【成績】妊娠25周期,非妊娠80周期で,妊娠率23.8%であった。左右卵管角間の中央から胚までの距離が妊娠群26.9±16.3%,非妊娠群18.0±16.0%であり,妊娠群のほうが有意に離れていた(p=0.011)。また,子宮内膜厚と子宮内膜体積に正の相関を認めた。妊娠群のうち分娩まで至ったのは18症例(72%)で,分娩群と流産群に有意差は認めなかった。
【結論】子宮内膜側方への移植は,妊娠率に影響を与える可能性があると考えられた。2D超音波下の現状の移植手技はある程度支持できるが,3D/4D超音波で胚移植部位をより正確・立体的に評価することで,さらなる妊娠率の向上に寄与する可能性があると考えられた。
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