症例
顕著な骨密度上昇を示した原発無月経の大学長距離ランナーの治療例
岡島 多希
1
,
難波 聡
1
,
石原 理
1
T. Okajima
1
,
A. Namba
1
,
O. Ishihara
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.1181-1186
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001013
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「女性アスリートの三主徴」に陥ったアスリートに対しては,low energy availabilityの改善なしにエストロゲン補充療法や骨粗鬆症治療薬処方などを行っても,容易に骨密度は回復できないと考えられている。ただし原発無月経のアスリートについては,エストロゲン補充療法による一定の骨密度獲得効果が期待される。
今回,大学入学後に5kgの体重減少を示しながらもエストロゲン補充療法と活性型ビタミンD3製剤の投与中に,大学1年〜3年にかけて顕著な骨密度増加を示した原発無月経の長距離ランナーの一例を示す。すなわち原発無月経のアスリートに対しては,薬物療法の骨密度獲得効果が大きい可能性が示唆された。しかし,本症例では薬物療法継続にもかかわらず大学4年時には骨密度の増加が認められなかった。したがって体重増加を伴わない場合,薬物療法のみでは骨密度の増加に限界があることが示唆され,三主徴アスリートの骨密度を十分に増加させるには,エストロゲンやビタミンDの充足に加えて体重要因も無視できないと考えられた。
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