特集 疲労
疲労の保健
長距離運転と疲労
谷島 一嘉
1
,
池田 研二
1
,
大島 正光
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.309-312
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204473
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自動車の運転免許を持つものが毎年増加し,自動車の保有台数もそれに伴って増え,46年度の10月末ですでに20,352,290台と2千万台を突破し,普及率が5人に1台を割ろうとしている現在,自動車そのものの性能や欠点を知ると同時に,運転者の諸特性を知ることは,自動車についての問題を論ずるに当たって欠くことのできないものである.一番身近でしかも重要な問題である交通事故についても,運転者に責任がある場合は非常に多く,見かけ上は不注意とかわき見運転であっても,その底には疲労が隠れている可能性は非常に強い.
昭和45年度の警察庁資料によれば,1日に生ずる全事故の40%以上が,午後2時から8時までの6時間に起こり,しかも,その半分近くが,4時から6時までに集中しているという事実は何を示しているのであろうか.運転者が,運転を続けていたための疲労の状態とか,あるいは運転以外の作業に従事して,一日の蓄積された疲労の状態で運転したために,事故が起こりやすくなったのではなかろうか.
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