特集 外陰疾患を極める
4.瘙痒(類癌病変,上皮内癌)
甲斐 冴
1
,
松村 謙臣
1
S. Kai
1
,
N. Matsumura
1
1近畿大学医学部産科婦人科学教室
pp.1105-1110
発行日 2019年8月1日
Published Date 2019/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000996
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
硬化性萎縮性苔癬は閉経前後の女性外陰部に好発する白色局面であり,強い瘙痒感を伴う。組織学的には真皮上層に帯状にみられる強い浮腫が特徴で,治療は主にステロイドの外用である。約10%の頻度で悪性腫瘍が発生する。白板症は陰核や小陰唇に生じる軽度角化を伴う白斑で,硬化性萎縮性苔癬から悪性腫瘍へ移行する前癌病変と捉えられている。外陰Paget病は外陰の表皮内に浸潤増殖する悪性腫瘍で,ほとんどが高齢者に発症する。湿疹などと誤解され,診断に時間を要することがある。生検でPaget細胞の存在を確認し,十分な切除範囲を伴った局所切除が基本治療となる。外陰Bowen病はビロード状光沢を呈する紅色浸潤面であり,子宮頸癌の合併が多く報告されている。外陰上皮内腫瘍は外陰の扁平上皮系前癌病変であり,白色または紅色の斑状疹・丘疹様の隆起性病変に瘙痒を伴うことがある。組織診にて異型細胞の核の多型性,クロマチンの濃染,核分裂像などの上皮細胞の成熟障害を認める。
Copyright © 2019, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.