症例
赤血球増多症を呈したエリスロポエチン産生子宮平滑筋腫の1例
-―免疫染色の有用性―
村田 強志
1
,
西山 浩
1
,
磯上 弘貴
1
,
三瓶 稔
1
,
赤津 賢彦
2
,
浅野 重之
3
,
本多 つよし
1
T. Murata
1
,
H. Nishiyama
1
,
H. Isogami
1
,
M. Sanpei
1
,
M. Akatsu
2
,
S. Asano
3
,
T. Honda
1
1いわき市立総合磐城共立病院産婦人科
2いわき市立総合磐城共立病院麻酔科
3いわき市立総合磐城共立病院病理診断科
pp.323-326
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000797
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子宮平滑筋腫はエリスロポエチン産生腫瘍となることがあり,赤血球増多症を惹起することがある。赤血球増多症は血栓症のリスクが非常に高い。今回,周術期に赤血球増多症の管理を行いながら子宮全摘術を施行し,免疫組織染色で平滑筋腫細胞にエリスロポエチン活性を証明した子宮平滑筋腫の1例を経験した。症例は54歳,経産婦。閉経後にもかかわらず子宮筋腫が増大し,MRI検査で25cmの子宮筋腫とヘモグロビン21.9g/dlの著明な赤血球増多症を認めた。血中エリスロポエチン活性23.2mIU/ml(基準値4.2~23.7mIU/ml)と比較的高値であり,JAK2遺伝子変異を認めず,エリスロポエチン産生子宮平滑筋腫を疑った。術前に麻酔科を紹介し,瀉血・自己血貯血を施行後,腹式単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した。病理組織診断は子宮平滑筋腫であり,摘出標本の免疫組織染色でエリスロポエチン活性を証明した。術後1年間にわたり赤血球増多症再発や血栓症の所見を認めていない。赤血球増多症を呈する子宮平滑筋腫症例では,赤血球増多症に対する周術期管理をしながら単純子宮全摘術を施行し,血栓症を予防する必要がある。エリスロポエチン産生腫瘍を証明するために免疫染色は有用であり,積極的に施行すべきである。
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