特集 On Fleek 産婦人科手術
Ⅰ.低侵襲手術
総論
1.良性疾患に対する腹腔鏡手術―基本手技と歴史
堤 治
1
,
久須 美真紀
1
,
末永 昭彦
1
,
堤 亮
2
Tsutsumi Osamu
1
,
Kusumi Maki
1
,
Suenaga Akihiko
1
,
Tsutsumi Ryo
2
1山王病院リプダクション・婦人科内視鏡治療センター
2杉山産婦人科丸の内
pp.1190-1203
発行日 2018年10月31日
Published Date 2018/10/31
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000614
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腹腔鏡下手術は悪性疾患にも適用されるが,術者として最初に経験するのは,良性疾患が多い。その際習得すべき技術として腹腔へのアプローチと切開・切断,剝離・止血などの基本手技が挙げられる。アプローチ法は使用するスコープ径にもよるが,皮膚,筋膜,腹膜を直視下に切開し,トロカーを挿入するオープン法が一般には広く行われる。ダイレクト法はトロカーを直接腹腔内に挿入するもので,細径でよく行われる。クローズド法は気腹針による気腹を先行し,トロカーの穿刺を安全にしようとするものである。切開・切断,剝離などの腹腔鏡基本手技は使用する器具やパワーソースの原理を知悉した上で安全に実施される必要がある。わが国における腹腔鏡下手術は,1970年代から実施された不妊症に対するculdoscopyや腹腔鏡検査を源流に発展した。1990年代には婦人科良性疾患に対する腹腔鏡下手術の保険収載を契機に適用が拡大し,現代では腹腔鏡下手術はほとんどすべての婦人科良性疾患の手術治療に適用されるに至った。この発展には1973年に産婦人科内視鏡研究会として発足,現在約4,000名の会員を有する日本産科婦人科内視鏡学会の果たした役割も大きく,その歴史や活動を総論に加える。
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