特集 不妊と不育の新たな課題
8. がん患者への妊孕性温存対策─わが国の現状─
佐藤 匠
1
,
杉下 陽堂
1
,
鈴木 直
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.1827-1832
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000256
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近年の医学の進歩とともに悪性新生物の治療は飛躍的に進歩しつつある。一方,その治療による副作用として小児や生殖可能年齢者の妊孕性低下や喪失に関する懸念が存在する。2017年7 月に日本癌治療学会がわが国初の妊孕性温存の診療に関するガイドラインを出版した。近年日本国内のがん・生殖医療ネットワーク構築も進み,わが国においても「がんと生殖に関するがん患者のサバイバーシップ向上」に対する試みが進みつつある。がん治療を何よりも優先とするなかで,患者の自己決定をサポートしつつ妊孕性温存の可能性を考える取り組みは,ある時はがん患者に希望を与え,しかしある時は厳しい現実を突きつけることになる。特に患者や家族に対する心理社会的サポートが必須となり,サバイバーシップ向上に繋がるための多職種に及ぶ医療従事者による支援も重要となってくる。
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