今月の主題 臨床栄養Update
補助食品と栄養療法
短鎖脂肪酸
佐々木 雅也
1
,
荒木 克夫
1,2
,
馬場 忠雄
3
1滋賀医科大学第2内科
2エースバイオプロダクト
3滋賀医科大学
pp.281-283
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402908578
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ポイント
食物繊維のうち,水溶性のものは腸内細菌による発酵を受け,酪酸,酢酸,プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を産生する.
水溶性食物繊維を補助食品として摂取することにより,短鎖脂肪酸の産生を増加することができる.
短鎖脂肪酸は,大腸粘膜増殖効果,水・電解質吸収促進作用,血流増加作用のほか,免疫調節作用も有している.
食物繊維は,炎症性腸疾患,特に潰瘍性大腸炎の治療法として期待されている.
癌細胞株の研究により,酪酸にはアポトーシス誘導作用や発癌運伝子の抑制効果が確認されているが,疫学的研究では,食物繊維による大腸癌予防効果は不確実である.
補助食品としての食物繊維と,ビタミンなどを豊富に含んだ野菜や果実などの高繊維食とを同義と考えるには問題がある.
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