症例
後期梅毒治療不十分な母体から出生した正期産低出生体重児の診療
糀谷 淳一郎
1
,
五十嵐 健康
1
,
酒井 秀政
1
,
芹澤 龍太郎
1
,
山中 雄城
1
1地方独立行政法人静岡市立静岡病院小児科
pp.262-266
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003803
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梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum:TP)を病原体とする性感染症であり,感染症法に基づく全数把握対象疾患である.わが国ではここ10年で報告数が著明に増加している.とくに20代の女性での報告数の増加は顕著であり1),妊娠期の梅毒罹患は母子感染を通じて先天梅毒(congenital syphilis:CS)を引き起こす重大なリスクとなっている.母子感染が成立すると流産や死産だけでなく早産,低出生体重児の出生に加え,出生後に皮膚粘膜病変,肝脾腫,骨病変,神経症状など多彩な臨床症状を引き起こすことが知られている.加えて一見無症状で出生したとしても数年後に晩期先天梅毒として長期的に児の生活に深刻な影響を与える可能性がある.世界保健機関(WHO)は2016年に世界の妊婦において活動性梅毒は98.8万例,先天梅毒は61.1万例と推定している2).梅毒は世界的にみても感染症による死産の原因として第2位を占める重大な疾患であり3),わが国での近年の急増は周産期医療における喫緊の課題である.本稿では,一般市中病院で取り扱った梅毒合併妊娠の症例について,医療機関の各科で先天梅毒が懸念される場合の診療方針を共有・周知しておくことの必要性について痛感させられたケースを報告する.

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